TOTOの「つながる快適セット」は本当に便利?ユニットバスリフォームで知っておきたいメリットと実際の使用感

ユニットバスのリフォームを検討する際、TOTOの製品を候補に挙げる方は多いでしょう。中でも近年注目を集めているのが「つながる快適セット」です。スマートフォンと連携して浴室環境をコントロールできるこのシステムは、従来のユニットバスとは一線を画す快適性を実現します。しかし、実際の使い勝手はどうなのか、費用に見合う価値があるのか、気になる方も多いはずです。リフォーム業界で19年の経験を持つ二級建築士として、この「つながる快適セット」について詳しく解説していきます。

TOTOの「つながる快適セット」とは?

つながる快適セットは、TOTOのユニットバス「サザナ」や「シンラ」に対応したIoT機能搭載のオプションシステムです。専用のリモコンとスマートフォンアプリを使って、浴室の様々な機能を遠隔操作できる点が最大の特徴といえます。

具体的には、外出先からお湯はりの予約ができたり、入浴前に浴室暖房を起動したり、さらには音楽を流しながらリラックスしたバスタイムを楽しむことも可能です。単なる給湯システムの進化版ではなく、入浴という生活習慣そのものをより快適にデザインし直すコンセプトで開発されています。

システムの中核となるのは、浴室内に設置される多機能リモコンと、それと連携するスマートフォンアプリです。Wi-Fi環境があれば、家の中はもちろん、外出先からでも操作が可能になります。

実際の使い勝手はどうなのか

私がこれまで施工に携わったお客様からの評価を総合すると、つながる快適セットの実用性は想像以上に高いと感じています。

最も評価が高いのは「帰宅時間に合わせた自動お湯はり機能」です。仕事や買い物から帰る時間に合わせて、スマートフォンから操作しておけば、帰宅後すぐに適温のお風呂に入れます。共働き世帯や残業が多い方にとっては、時間の有効活用という点で大きなメリットがあります。従来のタイマー式と違い、予定が変わってもリアルタイムで調整できる柔軟性が好評です。

次に便利なのが「浴室暖房の事前起動」です。特に冬場、冷え切った浴室に入るのは誰しも躊躇するものですが、入浴の15分ほど前に暖房を入れておけば、快適な温度で入浴できます。ヒートショックのリスク軽減という健康面でのメリットも見逃せません。高齢者のいるご家庭では、この機能だけでも導入価値があると言えるでしょう。

音楽再生機能については、評価が分かれるところです。リラックスタイムを重視する方には好評ですが、実際にはあまり使わないという声も聞かれます。ただし、お子様がいるご家庭では、お風呂嫌いな子どもを楽しく入浴させるツールとして活用されているケースもあります。

一方で、注意点もあります。スマートフォンの操作に不慣れな高齢者の方の中には、従来のボタン式リモコンの方が使いやすいという意見もあります。また、Wi-Fi環境が不安定な場所では、接続トラブルが発生する可能性もゼロではありません。

他社製品との比較

ユニットバスのスマート化は、TOTO以外のメーカーも進めています。主要な競合としては、LIXILの「スマート機能」やパナソニックの「スマホで風呂」などがあります。

LIXILのシステムも基本的な機能は似ていますが、TOTOの強みは操作画面の直感性とレスポンスの良さにあります。実際に複数のメーカーを比較検討したお客様からは、「TOTOのアプリが最も使いやすかった」という声を多くいただいています。これは長年の給湯機器開発で培ったノウハウが活かされているためでしょう。

パナソニックは家電メーカーらしく、音響システムや照明演出に強みがあります。バスタイムのエンターテインメント性を重視するなら選択肢に入りますが、実用性という観点では、TOTOの方がバランスが良いと感じます。

また、TOTOは既存の給湯器との互換性も高く、リフォーム時の選択肢が広いのも利点です。他社製品では、システム全体を入れ替える必要があるケースもあるため、既存設備を活かしながらスマート化できる点は大きなアドバンテージといえます。

費用感と導入コスト

つながる快適セットの導入費用は、ユニットバス本体とは別に約10万円から15万円程度が目安です。これに工事費用が加わりますので、トータルで12万円から20万円程度を見込んでおくとよいでしょう。

ユニットバス本体の価格は、サザナで約60万円から、上位モデルのシンラで約80万円からが相場です。つながる快適セットを含めた総額では、サザナで80万円前後、シンラで100万円以上になるケースが多いですね。

この金額を高いと感じるか、妥当と感じるかは価値観次第ですが、私の経験では、ライフスタイルによって満足度が大きく変わります。共働き世帯や帰宅時間が不規則な方、高齢者と同居している方などは、導入後の満足度が非常に高い傾向にあります。

逆に、規則正しい生活リズムで毎日ほぼ同じ時間に入浴される方や、スマートフォンの操作が苦手な方は、従来型のユニットバスでも十分かもしれません。

なお、ランニングコストについては、Wi-Fi環境があれば月々の通信料金は不要です。消費電力も微々たるもので、電気代への影響はほとんどありません。

導入前に確認すべきポイント

つながる快適セットの導入を検討する際、必ず確認していただきたいのがWi-Fi環境です。自宅にWi-Fiルーターがあり、浴室までの距離で安定した接続が得られることが前提条件となります。

特に戸建て住宅で浴室が1階、Wi-Fiルーターが2階にある場合などは、事前に電波状況を確認することをお勧めします。必要に応じて中継器の設置も検討しましょう。

また、スマートフォンのOSバージョンも確認が必要です。あまりに古い端末では、専用アプリが正常に動作しない可能性があります。現在使用しているスマートフォンが対応しているか、事前にTOTOの公式サイトで確認しておくと安心です。

給湯器の型番も重要なチェックポイントです。つながる快適セットは、対応する給湯器が限られています。築年数が古い物件の場合、給湯器の交換が必要になるケースもありますので、総合的な費用を把握するためにも確認が欠かせません。

リフォーム会社選びの重要性

ユニットバスのリフォームは、製品選びも重要ですが、施工する会社選びも同じくらい大切です。特につながる快適セットのような最新システムの場合、正しい知識と施工経験を持つ業者に依頼することが、トラブルを避ける最善の方法といえます。

Wi-Fi環境の構築、給湯器との連携、防水処理など、専門的な知識が求められる工程が多いため、実績のある業者を選ぶことが成功の鍵になります。また、導入後のメンテナンスやトラブル対応についても、信頼できる業者を選ぶことで安心して長く使い続けることができます。

複数の業者から見積もりを取り、施工実績や対応の丁寧さを比較検討することをお勧めします。最近では、一括見積サイトを利用することで、効率的に複数の優良業者を比較できるようになっています。地域の評判が良い業者や、TOTOの製品施工に実績がある専門業者など、自分の希望に合った会社を見つけやすくなっていますので、ぜひ活用してみてください。信頼できるパートナーを見つけることが、満足度の高いリフォームを実現する第一歩です。