
リフォーム業界歴19年の二級建築士が、リクシル・スパージュのアクアタワーを徹底評価。
実際の施工経験と施主様の口コミから、機能性・コスパ・メンテナンス性を本音で解説。
給水圧力問題、清掃の手間、使用頻度の実態まで、導入前に知っておくべき情報を建築士の視点から詳しく紹介します。
【総合評価:★★★☆☆ 3.4/5】正直な本音をお話しします

リフォーム業界に身を置いて19年、二級建築士として数え切れないほどの浴室工事に携わってきました。最近特にお客様からご質問が多いのが、リクシルのスパージュに搭載される「アクアタワー」について。今回は、実際に施工した現場での体験談と、お客様から聞いた率直な感想を含めて、プロの視点から忖度なしの評価をお届けします。

結論から申し上げると、「素晴らしい機能だが、万人向けではない」というのが私の見解です。
アクアタワーとは?機能の詳細解説


アクアタワーは、リクシル・スパージュの上位グレードに搭載される多機能シャワーシステムです。主な機能は以下の2つ:
- オーバーヘッドシャワー:頭上からの大径シャワー
- 打たせ湯:天井からの集中的な水流でマッサージ効果を狙う機能
LIXIL公式サイトでは「極上のシャワー浴」と謳われていますが、実際のところはどうでしょうか?
【機能別評価】実際に使った施主様の声


オーバーヘッドシャワー:★★★★☆「満足度は高い」
良い点(お客様の声より):
- 「一流ホテルにいるような贅沢な気分になれる」(40代女性・戸建住宅)
- 「全身を包み込むボリューム感は確かに感じる」(50代男性・戸建住宅)
- 「子供たちも大喜びで、シャワータイムが楽しくなった」(30代ファミリー)
気になる点:
- 水圧に大きく依存する機能のため、給水圧力0.2MPa以上が必須
- 背の低い方(150cm台)には角度が合わない場合がある
- 水の使用量が通常のシャワーより多くなる傾向
打たせ湯:★★☆☆☆「評価が分かれる」
ポジティブな評価:
- 「肩こりが楽になった気がする」(60代女性・マンションリフォーム)
- 「スパリゾートのような気分を味わえる」(40代男性・新築)
ネガティブな評価:
- 「思ったよりマッサージ効果を感じない」(複数のお客様から)
- 「最初の数回使っただけで、今は使っていない」(これが最も多い意見)
- 「水圧の関係で勢いが物足りない」(築年数の古いマンション)
建築士としての所感: 打たせ湯機能は羽根車による圧力アップ機構を内蔵していますが、元の給水圧力が低いと本来の性能を発揮できません。特に築15年以上のマンションでは要注意です。
【設置・施工面での評価】★★☆☆☆「課題が多い」


施工上の注意点
- 給水圧力の確認は必須
- 施工前の圧力測定が不可欠
- 圧力不足の場合、増圧ポンプの検討が必要(追加工事費20万円~)
- 配管工事の複雑化
- アクアタワー用の専用配管が必要
- 天井裏の配管ルート確保が困難な場合がある
- 電気工事の追加
- アクアタワーライト使用時は専用電気配線が必要
- 築古物件では分電盤の容量確認も必要
実際にあったトラブル事例
ケース1:築20年マンション
- 給水圧力不足で打たせ湯の勢いが出ず
- お客様から「話が違う」とクレーム
- 結果:増圧ポンプ設置で追加工事費25万円
ケース2:戸建住宅
- 配管ルートの制約でアクアタワーライトの配線が困難
- 天井に点検口を新設する必要が発生
- 追加工事費:8万円
【メンテナンス性評価】★★☆☆☆「手間がかかる」


清掃・メンテナンスの実情
アクアタワーの大きな課題がメンテナンスの手間です。
問題点:
- 水垢の付着が目立つ
- 特にブラック仕様では水垢が非常に目立つ
- 週1回以上の専用清掃が推奨される
- 清掃箇所の多さ
- オーバーヘッドシャワー部分
- 打たせ湯吐水口
- アクアタワー本体
- 操作部分
- 高所作業の危険性
- 天井近くの清掃は脚立が必要
- 高齢者には危険を伴う
お客様の声: 「最初は頑張って掃除していたけど、だんだん面倒になって…」(50代女性)
【コストパフォーマンス評価】★★☆☆☆「高額な投資」
価格面での検証
アクアタワーのコスト:
- 本体価格:約25万円~35万円(グレードによる)
- 工事費:5万円~15万円
- 合計:30万円~50万円の追加投資
使用頻度の実態: 我々が1年後にアフターフォローで伺った際の調査結果:
- オーバーヘッドシャワー:70%の方が継続使用
- 打たせ湯:30%の方しか継続使用していない
コスパ判定: 30万円の投資に対して、打たせ湯の使用頻度を考慮すると費用対効果は疑問です。
【こんな方におすすめ/おすすめしない】
おすすめする方
- 給水圧力が十分にある住宅(0.25MPa以上推奨)
- メンテナンスを苦にしない方
- 予算に余裕がある方(追加工事含め50万円程度)
- ホテル的な贅沢感を重視する方
おすすめしない方
- 築15年以上のマンション(給水圧力不足の可能性)
- メンテナンスの手間を避けたい方
- コストパフォーマンスを重視する方
- シンプルな機能を好む方
【代替案のご提案】
アクアタワーの予算があるなら、私は以下の組み合わせをお勧めします:
- エコアクアシャワーSPA(約3万円)
- ミナモ浴槽(約15万円)
- アクアフィール(肩湯)(約20万円)
この組み合わせなら40万円程度で、より実用的で継続使用される機能が得られます。
【建築士としての率直な意見】
19年間この業界にいて、「最新機能=最良の選択」ではないことを痛感しています。
アクアタワーは確かに素晴らしい技術です。しかし:
- 住環境への依存度が高すぎる
- メンテナンス性に課題がある
- 費用対効果が見合わない場合が多い
私のお客様へのアドバイス: 「アクアタワーは見た目のインパクトは抜群ですが、5年後、10年後も同じテンションで使い続けられるかを考えてください」
【最終判断のポイント】
アクアタワー導入を検討される場合は、必ず以下を確認してください:
- 給水圧力の測定(0.25MPa以上を推奨)
- 配管ルートの確認(天井裏アクセス可能性)
- メンテナンス体制の確立(清掃頻度と方法)
- 家族全員の合意(使用頻度への期待値調整)
まとめ:冷静な判断を
アクアタワーは「あったら嬉しい」機能ですが、「なくても困らない」機能でもあります。
最終評価:★★★☆☆(3.4/5)
理由:
- 機能自体の品質は高い(+2点)
- 施工・メンテナンス面で課題(-1点)
- コストパフォーマンスに疑問(-0.6点)
結論として: 予算に余裕があり、メンテナンスも楽しめる方なら「あり」。そうでなければ、その予算を他の実用的な機能に回すことをお勧めします。